ねじまき鳥クロニクル
無人島に行くんだったら,どの本を持っていく?とか,人生の1冊を選べとか,よくそういうのあるけれど,ぼくの場合,最近は村上春樹の本かな,って思う.
これはなかなか大いなる変節で,以前だったらやっぱり若い頃から慣れ親しんだ司馬遼太郎かな?とか,あるいは最近だと宮部みゆきとか高村薫かな?とか,いやいや漱石も太宰も,三島や遠藤周作だって,それと清張や山崎豊子も捨て難い,みたいな感じで,若い時分に心に深く刻まれたとか,内容が面白かったとか,ともかくそういうまともな小説を選んだと思う.
そこで今回のねじまき鳥クロニクル.これは学生時代にのぶさんが読んでいた記憶がある.当時の僕は,以前にも書いたように,羊とかねずみ関係で完全にこの人の小説から脱落していたので,正直言って,こんなのが理解できるなんてすごいなあ,って思っていたけれど,たぶん全然意味わからなかったんじゃないかなって思う.だっていまだに僕だって意味わかってないし.ただ言えることはなんだかよくわからないけれど,どんどん読み続けて言ってしまうこと.意味不明なのに.
それで思ったんだけど,この人の小説っていうのは大人にとっての絵本みたいなもんなんだよね.子供がどれだけ絵本の内容を理解しているかはわからないけれど,なんだかそれを飽きもせずに眺めたり,読み聞かせてほしがるのと同じように,よくわからないけれどなんか楽しげ,みたいな.だからどちらかというと通勤途中の電車内だけで読む,みたいなのは適さない.区切りの悪いところで止めてしまうと,次に読むとき,その雰囲気みたいなものが残っていないから.
ともかく,たぶん無人島で一人で過ごすんだったら,感動とかよりもきっと,こういう絵本のほうがずっと楽しいと思うし,役に立つと思う.
内容?うーん,よくわかんない.だって涸れた井戸に潜ってみたことないし,潜ってみようと思ったこともないし.
ただなんか雰囲気的にあの伝説のクソゲー「たけしの挑戦状」を思い出したよ.わけのわからない島とか,暴力的な部分とか退廃的な部分とかね.時代背景的にはまんざらでもないしね.
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/09/30
- メディア: 文庫
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