Made in Japan

僕はもちろん自分のナショナリティには誇りを持っているけれど、その一方で、現実世界には、黄色人種だとか、モンキーだとか、小日本鬼子だとか、そういう表現があることも知っている。まあ、とにかく開国(あるいは敗戦)以降、我々の先輩達は、そういう声と戦って現在の位置を築き上げたわけで、本当にそれはすごいことだと思う。多くの立志伝にも書かれているように、代表的なほとんどのメーカーは国内に留まらず、欧米社会に進出したものの、最初は全く相手にされず、不当な扱いを受けたり、道義的に悔しい思いをしたこともたくさんあったと思うけれど、その勤勉さと誠実さを発揮し、世界に誇る高い品質と、そしてそれ以上に、どのような扱いを受けても倒れない不撓不屈の精神で、世界に名だたる信頼を築き上げたんだと思う。

翻って今回のリコール問題について「本当にこっちが悪いの?」「いいがかりなんじゃないの?」「そっちの景気が悪いから政治の材料にしてるんじゃないの?」って、思いたくなる気持ちはわかる。でもたぶんそれは我々のやり方ではないんじゃないかと思う。なんといわれようと、それが不当であろうと、それさえも受け入れて、馬鹿みたいに誠実にやっていくこと、そして信頼を積み上げていくこと、もちろん商売的には上手いとは思わないけれど、それが我々のやり方だと思う。

勤勉さと器用さから得られる圧倒的な性能と高い品質。もちろんこれが我々の大きな売りのひとつではあるけれど、それ以上に大きな美点である誠実さ、謙虚さを今こそ発揮すべきときじゃないだろうか。